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今日は雨なの
外に出るのは憂鬱だから
ココアを飲んでるわ
こんな雨の午後3時
よく貴方が家に来てたわね
そして紅茶を淹れてくれた
貴方の家で育てたハーブ
優しい香りがしたわ
まるで、そう、貴方のような…
思い出すのよ
全く同じなんだもの
貴方がいた、あの頃と何もかも
変わったことはひとつだけ
貴方がいない
身体の割に小振りな傘のせいで
雨に濡れる貴方を
私はタオルを持って出迎えるの
ドアが開くといつもの貴方が
微笑みながら…
貴方が温まるための紅茶
私の分も淹れてくれたわね
温かいわ
今もまだ、暖かいわ
私はね、
まだ紅茶の美味しい淹れ方を
覚えられなくて
あんなに貴方に
教えてもらっていたのに
だからココアなの
貴方が美味しいって言ってくれた
私のココア
でも私が今のみたいのは
貴方の大好きな紅茶よ
貴方のぬくもり
雨の雫が滴る栗色の髪の毛も
紅茶の風味さえ
まだ、全てが、あたたかいわ…
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