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「あいつまた休みか?」
俺は一人残った教室で椅子に座って携帯のディスプレイを見ていた。
待ち受けは俺とブレイズで行った展望台の写真だ。
俺もブレイズも笑っている。
そこに表示されるメール受信のマークはここ一週間現れない。
「メールなし・・・か。」
俺は目をつぶって頭を後ろに傾けた。
一週間前かリョウトに送ったメールは二十件だ。
こんなに返信が来ないものか。
そしてもう一人、返信を待ってる人がいた。
「猪水・・・。」
俺はその存在が自分にとってとても大きいものだと言うことを改めて感じていた。
授業なんて聞いてられない。
屋上で寝ているほうがよっぽどましだ。
深いため息がへこんだ心の大きさを教えてくれる。
・・・・・ん?
誰かが教室に入ってきたようだ。
足音は二人分。
「リョウトの家には誰もいなかったよ。」
俺は目を開けて目の前を確認した。
苦笑いした顔が一つ、怒っている顔が一つ。
叶とSeynaだ。
「これからブレイズのところに行くのです!
二人とも連絡なしでブレイズのところにいたらただじゃおかないのです!!」
相変わらずアニメチックな日本語をしゃべるSeynaと苦しそうな顔をした叶の目が腫れていた。
「きっと二人は一緒にいるよ?」
伸ばしてきた手をとって俺は教室を後にした。
「何やってんだ、あいつも。猪水も」
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