凛花

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 普通に生きられたら、どんなに幸せだったか。  潰れてしまいそうな心を支え立ち上がった凛花は、名前が表す通りの凛とした美しさを放っていた。 「皮肉ばっか言ってたらいつまでもナンバーワンにはなれないよ~」  美しい顔に微かな怒りの色も見せず、黙ってその場を立ち去る凛花を見てボーイが言った。 「どーせ私たちはナンバーワンにはなれないよ~。凛花がいる限りね~」  キャバ嬢達の皮肉はもう凛花の耳には最後まで届かなかったが、凛花自身、周りにどう思われているかなど、わかりきった事だった。
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