ネオン蝶

2/6
1377人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
 この街におおよそ不似合いな朝の光が射し込む頃、ネオンの蝶達に散々翻弄された男達がゾンビのようになって帰路に着く。  キャバクラのボーイ兼用心棒の龍吾は、店の女の子達を見送る。 「りゅうチャーン。あたし達の誰か選んでぇ」  キャバ嬢達がキャアキャアと龍吾に甘えた声を掛けた。 「ばーか。店の女に手ぇ出したらセイジさんに東京湾に沈められるわ」  龍吾は、やだーマジー!? と笑う彼女達を軽くあしらい大通りでタクシーに乗せ、店の前に戻るとタバコに火を点けた。  くゆる煙に目を細めた時、龍吾は道端で朝日を反射しキラリと光る物に気が付いた。煙草をくわえたまま近づき拾う。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!