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〝鈴蘭〟とは、この街最大のキャバクラだ。凜花はその店のナンバーワンだった。
知らない者はいない、と言われる伝説の、稀代のキャバ嬢だ。
「化粧してなかったからわからなかったな」
「いや、でもスゲー綺麗だった……」
「龍吾。あの女だけはやめておけよ」
シュウは、彼女が去って行った方角から視線が動かない龍吾に警告する。
「わかってるさ、鈴蘭の商品に手を出すようなマネするほどバカじゃねぇよ」
龍吾はそう言いタバコを捨て、足で火を揉み消した。
もう、会う機会もないさ。きっと。
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