僕が雪を愛せないちっぽけな理由

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「すまん!!」 僕は土下座する 例えほんの数分前に出会った何でもないものでも 僕が殺したことに変わりはない しかも彼女は虫とは違い何でもないはずなのに人のようなのである ならば全身全霊謝るしかないのである 「いいのです 顔をあげて下さい 謝らなくていいから 代わりに私を抱き締めて下さい 力いっぱい抱き締めて下さい 最後に人の温もりを知りたいのです」 僕は無言で立ち上がり彼女を抱き締める そしてまたすまんと呟くのだった 「謝らないで下さい ―それに・・・私も」 寂しかったですから 消えた。 彼女はそれを最後に溶けるように消えた。 いつのまにか雪もやんでいた。
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