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「あー! もう、やだやだ!」
ジェシカ・ドーソンは誰にも聞こえないように、口の中でそう呟くと、煌びやかな会場を後にした。
誰も彼女の事を気にしていない。
それぞれが目の前にいるパートナーに視線を注ぎ、熱愛ぶりを他人に見せつけようとしているからだ。
今夜はプロム。
高校卒業を記念して、卒業生みんなが美しく着飾って参加している。
それはジェシカも例外ではなかった。
勿論、パートナーもいる……いや、いた。
しかし、そのパートナーは、彼女が身に付けている宝石と同じ、飾りでしかなかった。いや、ジェシカがパートナーの飾りなのだ。
最初から分かってはいたが、一人になると居た堪れなくなってしまい、ジェシカは会場を飛び出したのだった。
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