二章 ベルセンティア

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セントゥーレの平行世界、ベルセンティアは、セントゥーレの天界、魔界のことを示す。 天界には、属性神などの神々と、それを補佐する天使達が住んでいる。 対して、魔界には、悪魔や吸血鬼などの種族が住んでいる。 よくある話とは違い、2界の仲は別に悪くはない。 その理由としては、現在の魔界を統べる王、すなわち魔王が争いを良しとしないからである。 そんな争い嫌いの魔王だが、その力は歴代最強と謳われている。 そもそも、魔王は血統ではなく、前魔王が崩御、もしくは、隠居した際に開かれる、魔界闘技祭で優勝した者がなるからである。 その闘技祭で優勝した者、すなわち現魔王の、レイヴン・ウォルクは、魔王城の最上階にある、自室の窓から、魔界を眺めていた。 「今日も今日とて平和だな」 窓から見える空は赤黒く、沈むことのない月は怪しげな赤紫。 人界、すなわち、セントゥーレに住むヒトからしたら、平和になんか見えようもない空であるが、魔界の人々からしたら、この空が普通なのだ。 サァ、と涼しい風がレイヴンの銀色の長い髪を揺らす。 ふと、開いた瞳は、右は月と同じ赤紫をしている。 しかし、左は鮮やかな紫色をしており、不思議な雰囲気をまとっていた。
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