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「ちょっと!何時まで寝てるきよ」
頭からうるさく俺を叱る女の声がする。
その声は聞き慣れている。
だから、誰だか俺には分かっていたが、そのまま寝た振りを続ける。
そして
「百合、やめなよ危険だって!」
「そうだよ、小坂さん。そいつ起きたらきっと、君に暴力振るうよ!」
「可愛い顔に、傷が付いたら大変だよ!」
クラスからは、そんな女を静止する沢山の声がする。
ほとんどが男子だ。
(何が、『可愛い顔が傷つく』だ。そんなにこいつの顔、可愛いのか?)
いつものことではあるが、俺はイライラする。
口々に奴らが言うことは、俺に対する誹謗中傷。
ギャアギャア奴らが、勝手にお喋りしているのを聞いてるのは、そろそろ限界だ…。
俺は重い頭を上げた。
そして、奴らを睨みつけてやる。
俺が奴らを睨みつけてやると、一斉に無言になり、怯えた顔つきをしているのもいる。
「やっと起きた!まったく、人のこと無視るの止めてくれない?幼馴染なんだからさー」
こいつは―百合は、冷めついた空気など気にもせず、明るく嬉しそうに話している。
俺は呆れていた。
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