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月日は経って、やがて少女は高校生となった。
未だに毎日彼のところに通い詰めているため、彼女は自分の高校で噂の的となっていた。
実はあの嘘吐きとデキているのではないか、と。
でも、彼女にそんなことは関係なかった。
彼の作業を見ているときが、一番何となく落ち着く気がしていたのである。
そしてある日、彼女は、毎日している質問を、今日もしようと決めていた。
でも、しなかった。
いや、出来なかった。
作業場の扉を開けた瞬間、矢のように私の元に彼が駆け寄ってきたのだ。
そして、光の三原色を知っているかと私に尋ねた。
私は、未だにドキドキとしている体をよそに、知っていると答えた。
すると彼は、驚くような一言を発した。
黒い光を発明した、と。
彼女は疑わなかった。
彼が言っているんだから、嘘ではないんだろうと思ったのだ。
彼は彼女の手を引き、作業台まで連れていった。
台の上には、小型の懐中電灯らしき物があった。
これがきっと、黒い光の光源なのだろう。
彼はそれを手に取り、壁際にあった本棚を照らした。
いや、性格には、消した。
照らされているのだろう丸く切り取られた部分が、まるで墨を垂らしたかのように、真っ黒に染まっていた。
彼女には、凄い、と言う余裕すらなかった。
大丈夫?という彼の言葉で、私は我を取り戻した。
私は、これを何に使おうとしているのか尋ねた。
彼は、にこやかに微笑み、明日のお楽しみだとだけ言った。
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