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次の日になった。
一応、登校はしたものの、彼の言葉が気になって仕方なかった彼女には、授業はただの焦らしでしかなかった。
彼女は、学校終了後、急いでいつもの作業場に行った。
彼は、彼女を待っていた。
いったい何を作ったの?、と私は聞いた。
『色眼鏡』
それが、彼の発明品の名だった。
どうも、かけると面白いことが起こるというのだが、肝心な、面白いこと、をまだ教えてはくれなかった。
彼に、この町で一番高い丘の上に行こう、と言われた。
私には、ついて行くという選択肢しかなかった。
そこは、芝生のきれいな場所。
小学校の遠足以来来ていなかった私は、意外と景色が良いことに驚いた。
町全体を見渡すことができる位置に立った彼は、彼女に質問をした。
この町は、平和だと思うか。
私には、真意が全くわからなかったが、取り敢えず頷いた。
そこで彼は、やっと発明品の全貌を明かしてくれた。
この眼鏡をかけると、見たもの全てから、それらに見合った色の光が見える。
例えば、怒っている人からは赤い光、笑っている人からは黄色っぽい光、という具合に。
私は、なんと言って良いかわからなかった。
彼は目を細め、眼下にある町を見渡し━━━━━━
そして、手に持っていたその発明品をかけた。
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