第一章「ヒツゼン」

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昼休み。 私の視界はセカイにモザイクがかかったみたいにところどころ真っ暗だった。 頭痛が原因による視神経の異常。医師には十万人に一人の確率で稀に起こると言われた。 頭痛の原因ははっきり分かっていた。 例のごとく、スバルの予言だ。 『麻衣さんの読んでいた小説が、クラスでブームになる』 『麻衣さんの担任の先生が交通渋滞で遅刻する』 『先輩の男子生徒が麻衣さんに告白する』 そんな、ささいな事。 そんな、ささいな事が全て的中する。 既に私はもう彼の予言は的中するものだとほぼ核心的に信じていた。 まぐれはそう起こるものじゃない。予言を当てる為の仕掛けが合ったとは考えられない。 だからこそ、混乱した。 スバルがしたいくつかの予言。 昨日聞いた時は当たるはずもないと思っていた予言。 その、最後の一つ。 『麻衣さんのクラスメイトが、学校で一人死ぬ』 時計は1時すぎ。 学校が終わる、あと2時間のうちにクラスメイトの誰かが一人死ぬというのだろうか。 「キャアアアアアアア」 その時、どこからか悲鳴が聞えてきた。 私は一瞬ためらってから、悲鳴が聞こえた場所に走った。
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