第二章「カンケイ」

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「里香ー。ちょっと待ってよ」 「大丈夫。待ってるよー」 テニス部のあたしは、さっきまで昼休みも友人達と練習をしていました。 大会も近く、ここが正念場です。 「里香はどんどん上手くなるよね」 「うん、大会のために頑張らないと」 友人達との帰り道。 ふと校舎の横の桜の木を見上げると、見慣れた顔の男子が登っていました。 「阿形くん…?」 そこにいたのはあたしのクラスメイトの阿形くんでした。 あまり目立つタイプではなく、休み時間はずっと小説を読んでいた男子。最近の言葉で言うと草食系ってやつなのかな? どうして木に登ってるのだろう。 そう考えた瞬間。 「…あっ」 阿形くんは木から落ちました。 正確には、飛び降りました。 首に白い、ロープを巻いて。
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