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「里香ー。ちょっと待ってよ」
「大丈夫。待ってるよー」
テニス部のあたしは、さっきまで昼休みも友人達と練習をしていました。
大会も近く、ここが正念場です。
「里香はどんどん上手くなるよね」
「うん、大会のために頑張らないと」
友人達との帰り道。
ふと校舎の横の桜の木を見上げると、見慣れた顔の男子が登っていました。
「阿形くん…?」
そこにいたのはあたしのクラスメイトの阿形くんでした。
あまり目立つタイプではなく、休み時間はずっと小説を読んでいた男子。最近の言葉で言うと草食系ってやつなのかな?
どうして木に登ってるのだろう。
そう考えた瞬間。
「…あっ」
阿形くんは木から落ちました。
正確には、飛び降りました。
首に白い、ロープを巻いて。
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