第三章「レキサツ」

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家のドアを閉める。 「っっはあ」 大きく息を吐き出した。 これ以上演技を続けるのは限界だった。 昼休み以降。 予言通りの自殺死体を見て以降。 私は興奮を抑えるので精一杯だった。 「優等生」の「私」を壊すわけにはいかない。 午後の自習時間ではクラスのほとんどの生徒が阿形優斗の話をしていた。 立ち上がって大声で笑いだしたい衝動を抑え、いつもの私を続けた。 大丈夫、誰にも私の衝動はばれていない。 ばれている…はずがない。 夕食をすませ、時計を見ると時刻は21時。 まだ昨日より大分早い。 しかし私は待てなかった。 上着を羽織り外へ出る。 目的地はもちろん、彼と会った川原だ。
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