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チャイムが鳴るとクラスメイトはわらわらと席についた。
「はい、席つけよー。HR始めるぞー。」
担任の坂本先生が教室に入ってくる。
坂本先生は男性教諭で、主に女子からの人気が高い。その理由はルックスが良いからでもあるけど、誰とも分け隔てなく接する気さくさからだろう。
「先生からは以上だ。伊藤、何か知らせることはあるか?」
坂本先生から話をふられる。
「はい、今日の物理は実験室で授業をするそうなので三時間目が終わったら各自移動してください。」
淡々といつものクラス委員長の仕事をこなす。
そしてHRが終わり、また「いつもの日常」が始まる。
………
……………
……………………
「麻衣ちゃん、聞いてる?麻衣ちゃん?」
里香の声で我に返る。
「じゃあ、あたしはこの辺で。また明日ね。」
学校からの帰り道、いつものように里香と帰る。
私が帰ろうとするといつも里香が一緒に帰ろうと誘ってくる。
「いつも」。「いつも」。
里香の家から10分。
灯りの点いていない私の家につく。
「ただいま」
返事がない。当たり前だ。
私は大通りから少し離れた一軒家で一人暮らしをしている。
両親は共働きしている。どちらも一流企業の重役らしく、ほとんど家には帰ってこない。ただ、お金だけは出してくれるので生活費用や娯楽費の心配はない。もっとも、私は普段小説と服しか買わないのだが。
時々両親が雇っているお手伝いさんが来て掃除をしたりしに来る。
人も良く見ていて飽きない人だが所詮、「シリアイ」でしかない。
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