第一章「ヒツゼン」

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次の日の朝。 上履きの入った靴箱を開けたとたん、私の体はこおりついた。 上履きの上に丁寧に置かれていたのは便箋。ラブレターだろう。 今までも何回か貰った事がある。そのたびに中を見ずに捨てていた。 しかし今回はおかしい。上履きの上には三通のラブレターが置いてある。 1日に三通ものラブレターを貰うのはさすがに初めてだ。 しかし、私がこおりついた理由はそれではない。 “予言”通りだ。 血の気が引いた。 『明日、麻衣さんは三通ラブレターを貰う』 昨日いくつか聞いた予言の一つだ。 三通のラブレターを素早くバッグにしまい、私は逃げ去るように教室に入った。 まだだ。まだ決定的ではない。 そう自分に言い聞かせながらも私は予言が当るのはもしかしたら真実なのではないかと内心思っていた。 そして、なぜだろうか。 それを心のどこかで楽しんでいた。
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