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「ミヤコも何とか手ぇ空いたみたいや。直で来るって」
空いたアキラさんはさっきの沈んだ顔が無かったみたいに優しい顔を向けてくれる
「アキラさんは原発があった方が良かったんですか?」
優しい空気は壊したく無かったけど、なんだか余所者扱いされるのも癪に触って声にトゲが混じる
だから。失恋するんだ。流しとけば良いのに……
「微妙~」
アキラさんの軽い答えに何だかムカついた
「って!あんな酷い事故があって!アキラさんも漁師だって……!」
遠くて自分に被害が無ければ関係ないの?
「今から行くとこさ?俺ん友達が養殖やっとるとこなんやけど。こないだの震災でこっちにも津波が来て、全部わやになってもうたんやわ。なっとか立て直した所でな?9月に台風来たやろ?この辺は大きい被害は出やへんだんやけどな?川から雨水が大量に海に流れ込んで、養殖もんはまた全部パァやわ。ミヤコんとこもだいぶ損害出しとるんちゃうかな?」
嘘。そんなの知らなかった。そんなニュース、東京では見た事ないし、ミヤコも何にも言って無かった
「原発は俺も反対やで?そんでもやっぱり考えてまうやん?もし、原発が出来てて安定した職があったら、こんな悩み抱えてへんのちゃうかな?なんてさ。元々予定なんて無かったら考えんで済む事なんやけどな」
「ごめんなさい」
外側だけ見て迂闊な事を言った。恥ずかしい
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