遠く!もっと遠く!

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「なんや、もう始めとったん?」 ミヤコが来た。ごつい長靴を履いて、東京にいた時には寝る時ですら着てるのを見た事もないジャージに工事現場のおじさんみたいなジャンパーを着ている 「あ、ええな。ビール。うちも頂戴さ」 「あかん。ミヤコも車やろ?」 「兄貴が戻って来たから送ってもろた」 なんだか別人みたい 「遠かったやろ?ごめんな。兄貴の嫁さんが子ども産まれるって病院に行ったもんで、家にお父やんしか残ってへんだのに、お客さんが入ってもうてさ。あ。うち釣り堀やっとんのやけどな?」 缶ビールをぶつけて乾杯 「うん。遠くてビックリした」 「まだこの辺はええ方やよ?熊野や尾鷲辺りまで行ったら、もう秘境の域や。あすこはもう三重県やない」 「これで近いの!?熊野古道行ってみたかったのに!」 「熊野古道やったら、大阪のが近いんとちゃう?」 「また、のんびり来ればええさ」 アキラさんが私に笑いかけてくれた そっか。次もあるんだよね 大量の牡蠣と、ビールで昼間っから宴会が始まる 「あ、お父やんがうちの友達が来んのと初孫が出来たからって、夕飯凄い気合い入っとるから、あんまり食べると夕飯入らへんかも」 って!言うの遅すぎる!
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