2 日常パラノイア

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「おいおいボウズ、なーにしてくれちゃってるのかなぁ」  それを確認したところで三人組のリーダー格だと思われる、整えられた髭を生やした茶髪交じりの中年ほどの男性に彼は声を掛けられた。 「あん、ボウズってのは俺のことかおっさん?」 「そ、君だよ。てか、笑わせてくれるねぇ、君以外に人はいねぇだろ?」 「生憎、ボウズなんて言われたためしもねぇからな」 「そりゃ失礼したな少年。それはいいとしてな、そこどいてくれねぇかな。仕事するのに邪魔なんだよ、今なら見逃してやるからよ少年」 「見逃すだぁ? お前さ、この俺が誰だか分かってんのかァ!」 「知らねーな。おい、お前らもいつまでもぼんやりしてねぇで働け! 給料ださねぇぞゴラァ!」  そこでリーダー格の中年の男は部下だと思われる長身痩躯の男と見るからに筋肉というよりも贅肉のほうが多い男……デブに怒鳴る。  そこでようやく本来の目的を思い出したというように痩躯とデブは彼に向かってほぼ同じタイミングで左右から切り込むように起源能力を使用してくる。     痩躯の男は冷気を纏った球体を、デブは掌の中で陽炎のように揺らめく無色の何かを腕を伸ばして彼に当てようとしている。 「悪いが、私たちも仕事でね」 「ア、アニキの命令だから許して欲しいんだな」  それに対して彼は足場を蹴り上げるように蹴りつけると強く怒鳴るように言葉を口にする。 「弾け飛びやがれッ!」  瞬間、その叫びに呼応するかのように病院の廊下の舗装されたコンクリートが地割れを起こして散弾銃のように四方に弾け飛ぶ。 「くっ、やはり子供でもこの都市の一員というわけか」 「め、眼が痛いんだな」  だが、それとは全く違う反応をした人物が居た。
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