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三人組を退き、医務室に戻った眷属は開き気味の傷口を押さえながらこの状況を作った女性を探す。彼は一回り目視で部屋を見渡したが女性を発見できずに、苛立った声で言う。
「おい、出てこい女。さっきの三人組が来る前にここから離れるぞ」
その言葉に反応するように、先ほどまで彼が居たベッドの下のほうからもぞもぞと音が聞こえる。
(お前は猫か……)
「にゃ、にゃーん」
「チッ、冗談はいいからついて来い。こうなった以上は責任持って逃げさせてやるからよ」
「は、はひ!」
そんな女性の声を聞きなが眷属は医務室の窓を開く。
「あ、あの……もしかしてそこから行くの?」
「あ、それ以外に何がある?」
「し、失礼しますした!!」
女性は彼の言葉を聞くなり、しますとしましたをごっちゃにしたような言葉を言ってその場から逃げ出した。
しかし、女性はあえなく眷属につかまり窓の前まで引きずられる。
「い~や~、私、一人で逃げるから! まだ死にたくないのに~!」
「六階ってことは高さは約19.16メートルってところか……」
「何でそんなに落ち着いているのよー!!」
「俺の起源の事は俺が一番知ってるからに決まってるからだろうが…たく、どうして助けようなんざ思っちまったんだかな」
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