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窓から差し込む日差しの輝きが瞳を瞼の上から照らす。瞼を閉じて眠るように座っていた緋雨は感覚的に朝になったのだと思い、その視界を塞ぐように閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
彼の隣にはつい先日に助け出した不死の少女、桂燈なずなが眠っているベッドがある。
手を伸ばせばすぐに届く距離に―――居なかった。
手を伸ばした先には人が居たという温もりだけを残した毛布があるだけだ。
そこで初めて彼はなずながベッドから居なくなっていたことに気がついたようだ。
「な、まさか、僕は寝てたのか? 達成感から気が緩みすぎていた……ん?」
だが、彼は焦る気持ちを抑えながら冷静に状況を判断していく。
その結果、一つのことに気づいた。
「この匂いは……みそ汁か?」
普段はあまり使用することの無い台所のほうから味噌の匂いが漂ってくる。
そこで彼は全く見当違いな疑問を浮かべた。
(なずな……料理が出来るのか?)
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