始まりのゲシュタルト

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 しかし、毎日ということは起源能力―――つまり飲血や吸血を行った日にも食事を取ることになる。できることならばそんな日には食事をしたくないと考える彼であったが、ある提案をして妥協をしてもらうことに決めたようだ。 「いいけど、どうしても食べたくない日だけは許して欲しいな。それだったら約束するよ」 「本当は毎日食べて欲しいけど……約束して欲しいからそれでいいの」 「ありがとう、なずな」  なずなの答えに彼はにっこりと微笑みながらそういうと、なずなも彼に微笑み返す。  もともとなずなの顔は可愛げのある顔立ちなのだが、なずなの不機嫌ではないがどこか達観してしまっている表情のせいでそれが分かりづらくなってしまっている。  その一つが残念なところだと彼は考えながら、なずなの作った料理をリビングのテーブルに運ぶ。  二人はテーブルの前に座ると、同じタイミングで両手を合わせて「いただきます」と言ってから料理を口に運ぶのだった。  しかし、それがこの後に彼を苦しめることとなった。  程なくして朝食を食べ終わった彼に、なずなは食材が無くなってしまったから買い物をしたいといわれた。彼も食材が無いことは知っていたので二つ返事で了承の返事をすると、二人で近場のスーパーに歩いて向かうことにした。  その途中になずなを取り戻しに来た起源覚醒者に襲撃され、彼は仕方無く輸血パックから血を摂取したのだが……味覚が美味いと判断したものを胃に収めた状態で、俗に言う満足している状態で不味いものを口にしたらどうなるかと言われれば結果は一つしかない。  身体はそんなものを受け入れることなく押し戻そうとする。  つまり、彼の現在のコンディションは最悪の状態だということだ。  久々に心のそこから美味しいと思えるものを食べて満たされたというにも関わらず、彼が心配していたことが起きてしまったのだから。
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