始まりのゲシュタルト

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「緋雨……ごめんなさい、ごめんなさい……私が、私が―――」  今にも泣いてしまいそうな表情で何度も何度もなずなは懺悔する様に彼に謝る。  なずなは善意で彼に食事を作った。それがいいことだと思ってお願いした。だからこそ、彼の起源について理解していなかったとはいえ自分を責めている。 「大丈夫だよなずな。僕は平気だから、泣かなくていいんだよ」   「でも、でも……」  「僕があの時に説明していたらこんなことにならなかったんだ。だからなずなは何にも悪くないよ」  幼子をあやすような口調で彼はなずなに語りかける。 「それにね、こんなのいつものことだからね」  そして、なずなに心配をなるべく掛けないようにと虚勢をはるように笑顔で笑って見せた。 「ほんとに……顔色悪いよ?」 「本当にだよ。そうじゃなかったらこうしてなずなを抱えて逃げる余裕なんてないからさ」 「うん……わかった。信じる」  彼に背負われているなずなはぐじゅっと鼻をすすると、より一層強く彼にしがみつく。  だが、いくら平常を装っていても通常の二分の一ほどしか動けていないのもまた事実である。  空腹時に摂取する血は緋雨に高揚感を与えてくれるが、食後ほど萎えるシチュエーションは無い。  だから、緋雨としてはさっさと撃退もしくは殺してしまって家でゆっくりと休みたいと考えてはいるのだが…… 「瞬間移動使い(テレポーター)か……また厄介な敵が来たもんだ」 「瞬間移動使い?」
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