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だが、それの成果というべきか蝙蝠の翼を背中に生やした小さな女妖精らしき生物が彼の肩に座っていた。
「はぁ……これが僕の起源の擬人化した姿とは未だに信じられないな」
「む、そんなこと言うと手伝ってあげないわよ」
なずなはその光景に目を丸めている。
何故なら、人の形をしているとはいえど元は彼の血液によって現れた存在なのだから。
「それで、前にも聞いたけど貴方の戦う意味は見つかったのかしら?」
「見つかったよ。それに僕の中にいつだって存在してるんだから知ってるんだろヴィヴル」
彼が少し不機嫌そうに答えると、ヴィヴルと呼ばれた妖精らしき生物はクスクスと笑う。
「その反応だと知ってるんだな……」
「ええ、知ってるわ。それに私を外に出した理由も知ってる」
「だったら―――」
「貴方から見て西側に300メートルの所、多分雑居ビルの屋外タンクの陰に隠れてると思うわよ」
彼はその言葉を聞いた瞬間に迷わず自分から見て西側方向に向かって飛び上がる。
「たく……なずな、コイツについては後で説明してあげるから今は何も聞かないで欲しいんだけど」
建物の壁を蹴りながら彼はなずなにそう言う。
なずなはその言葉に小さな声で答えると、ヴィヴルのことが気になってしょうがないのかちらちらとしきりに目を動かしている。
「貴方以外に見られるのって初めてだから変な気分だわ」
「いい経験じゃないか。今までだって宿主くらいとしか会話してなかったんだろ?」
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