始まりのゲシュタルト

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「成功したのか?」 「大丈夫。余程のことがない限りは思いださないから」  そこで彼は一瞬だけ考えたかと思うと、すぐに口を開く。 「余程のこと…か。ヴィヴル、暫くは君を実体化させておくことにする」 「それはこの子が心配だから?」 「ああ。なずなは僕の希望だから」 「希望ね。了解したわ。その代わり死なない程度に今すぐ血を摂取しなさい。できればこの子からね」  ヴィヴルの言葉に彼は首を横に振ると、輸血パックを衣服から取り出して一気に飲み干す。 「そう、それほどに今回の貴方の決意は固いのね……で、これからどうするつもりなの?」 「スーパーに言って買い物して帰るよ。その間、君は僕のポケットの中に隠れてろ」 「珍しいこと」  ヴィヴルの言葉に彼は小さく『黙ってろ』と呟くと、なずなを背負ったままスーパーに向かい、食材を買って自宅に戻った。  それからしばらくしてなずなが目を覚ますと、彼はヴィヴルを実体化させる前の優しい水城緋雨に戻っていた。
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