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「悔しいと思ったのなら諦めるな。何でもいいからその意思を強く持て」
「それは詭弁だ……オリジンブラッド……俺をここで殺さないとお前はきっと後悔するぞ……俺は、お前を必ず殺す」
そんな事を最後に呟いて男は完全に意識を失った。緋雨はそれを見届けると、ただそこに座り込んでいる少女に手を差し伸べた。
少女は緋雨から差し伸べられた手を掴むべきか、掴まぬべきかを迷っているのか手を出しては引っ込め、緋雨の顔を見ては俯くと言う動作を繰り返している。
緋雨はそれに対して何も言うことなく、ただこの手を握ってくれるときを待ち望む。強制するつもりも無い、緋雨はあのときに聴いた言葉を信じるのみ。
だから、いつまでも待つつもりであった。
そんな時、少女から問いかけるような言葉が口にされた。
「なずなを助けることに……何の意味があったの?」
そんな問いかけをされた時、緋雨は迷うことなく、初めから己の中に存在していた言葉を口にした。
「たすけてって言われた気がしたから」
緋雨がそう言うと、少女はいつの間にか差し伸べられていたその手を掴んでいた。
緋雨も、掴まれた手を決して離さないように握り返す。
これが『不死』の起源覚醒者である少女と、『血』の起源覚醒者である緋雨の始まりの一歩である。
「助けに来てくれてありがとう」
少女は、満面の笑みで緋雨に微笑んだ。
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