1想いと誓いのカタルシス

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 現代科学の語るところによれば、起源とは一種の超能力のようなものであり、誰にでも生まれたときから魂に情報として備わっているらしい。    多くのものはその魂に五大元素に属する起源を備えている。しかし、ごく少数にそれらの起源とは全く別の特別な起源、希少起源が発生することがある。  それは『大罪(グレゴリウス)』や『不死(イモータル)』、『言葉(ワード)』、そして『血(ブラッド)』といった発生源が確定していないものである。  だが、その他にも『多重起源者(デュアルオリジン)』といった複数の起源を一つの身体に宿した人間も存在する。    ――かいつまんで要約すれば不死の少女、桂燈(けいとう)なずなが緋雨から受けた説明はそのような内容であった。 「つまり、僕や君は希少起源者に当たる存在になる。ただの起源者たちと違って、僕たちのような存在は科学では解明されていないことを解明するための材料にもってこいなんだよ。それが幸福なのか、それとも不幸なのか………それを決めるのは自分自身なんだけどさ」  何かを思い出すかのように、自嘲気味に説明を続ける緋雨。  窓が南側に二つだけ存在し、六畳半の部屋には木製のテーブルが一つとソファーが一つ、そしてベットが一つだけある。そんな部屋でなずなは緋雨と二人っきりだった。 「緋雨は起源覚醒者になったことを後悔している?」  だから、なずなは緋雨に確かめようと思った。
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