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緋雨が語ることは全て偽りの無い事実であると、何故だかわからないが、なずなはそう思い込んでいる。
そして何より、起源について説明をする緋雨の表情が気に掛かってしまった。
「きっと僕は後悔していた……」
「……していた? どうして過去形なの」
「していたからだよ。けどね、過去に縛られることほど無意味なことも無いって知ってる。だから、今は後悔していないと思っている」
「思っているって、結局どっちなの?」
なずなは緋雨から帰ってきた言葉がどちらなのか理解できずに、緋雨に答えを催促する。
緋雨としては、自分が起源覚醒者になったのは自信の目標であった他人に認められたいと言う思いがあったために起源覚醒者としてここに存在している過去がある。
だから、答えと言うものは存在しないとい言ってもいいのだ。
「あえて言うならどっちなんだろうね」
よって、返答も曖昧なものになる。
「緋雨はいじわる……」
だが、そんな答えでなずなは納得できない。緋雨の言葉は言葉遊びのように聞こえ、なずなは結論的に呟いていた。
「ごめんごめん、謝るよなずな。けどさ、今の答えが僕にとっての答えなんだ。だからね、ちゃんと言葉にできるようになったその時、もう一度質問をされたら答えるって約束するよ」
緋雨の言葉になずなは上目遣いで聞き返す。
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