14、接触

3/15
前へ
/368ページ
次へ
巡察に出れば、気持ちを切り替えて臨まなければならない。 浅葱色の隊服に身を包んだ私は永倉さんの一歩後ろを歩き、周りに目配りをしている。 その中で突き刺さるたくさんの人の冷たい視線。 「壬生浪が来よったで・・・」 「今度は何やらかすんやろか?」 私たちに聞こえるくらいの声で話す人たち。 何回か巡察に来ていてやはり、これだけは馴れない。 まあ、馴れたくもないが・・・ 初めて巡察に来たとき、永倉さんに言われた。 永倉『いちいちそんなこと気にしてたらキリがねえよ・・・。全く悲しいよな。こっちは必死で守ってやってるって言うのに・・・』 悲しそうに笑う永倉さんを見て、かける言葉が見つからなかった。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1196人が本棚に入れています
本棚に追加