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「お前の事が、す、好きだ。つ、付き合ってくれ」
澄子は珍しく、その日は特攻服では無くちゃんとした学校指定の制服を着ていた。告白の日くらいは乙女らしく振る舞いたいのだ。
「お、お前が良ければ、だが…」
モジモジとしている彼女は最早どこから見ても恋する乙女である。
「良いですよ、俺なんかで良いなら」
さっぱりとした承諾だった、相手の少年は何だかボーっとした感じで何気ない様な反応である。
「ほ、本当…か?本当に良いのか?」
(あ、可愛い…)
上目遣いでそう聞く彼女に、少年は内心そう呟いた。
すると、彼女の向こう側から特攻服を着た女子が数人手を振ってこちらにやって来る。
「姐さ~ん!何してるんですか~!?」
(姐さん?)
ビクッ!
女子等数人がそう叫ぶと、少年が不思議に思い、目の前の彼女が明らかに反応した。
「あの……姐さんって」
「オラァア!!テメェ等何してくれてんじゃゴラァア!こんな時に邪魔してんじゃねぇえええ!!!」
「ヒィ!?すいません姐さん!!」
(…………)
少年は彼女の突然の剣幕に呆気を取られてポカンとしている。数人の女子が怯えている中、彼女はハッとなって少年に振り返った。
「……み、見た…?」
コクリ。
彼女のその問い掛けに、少年はごく正直に頷く。その反応を見た彼女は膝をつく。
「終わった…私の初恋終わった…あはは…」
涙をホロリと流し、悔し泣きをしている彼女。少年はそれを見て無言で何かを考える。
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