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「美味い?」
正面から恭ちゃんが話してくる。
「う…うん。」
不味くはないけど。
食べられなくはないけど。
…無理言って作って貰ったモノに文句は言えない。
「なら良かった。」
そう言って恭ちゃんは自分のを食べ始めた。
モグモグ…
黙々と食べていると
「てかさー、かえよく覚えていたよな。」
恭ちゃんが言った。
恭ちゃんはもう食べ切ったみたいだ。
「…何が?」
口の中のを飲み込んでから聞く。
「調理実習のこと。俺でも忘れてたのに。」
そうなの?
結構インパクトあったんだけど。
「だってそれ俺が高2だから…かえ7歳だぜ?俺7歳の時のことなんて全っっく覚えてないや。」
恭ちゃんが7歳かぁ。
その時は私まだ生まれてないな。
下手したら親が結婚もしていないかも。
「かえは記憶力良いんだな。うらやましいぜ。」
そう言って恭ちゃんは立ち上がって食器を流しに持って行った。
…ずっと覚えていられるのは
恭ちゃんの話だからだよ、
だなんて言えなかった。
言ってはいけない気がした。
これからこの家で平穏無事に過ごす為には。
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