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………あ、彼女に対する感情が一個思い浮かんだ。
『残念』、だ。
そう、残念。
あれ、これは感情じゃなくて感想かな?
ぼんやりと考えていると、僕がずっとだんまりを続けていたせいか………彼女は今度は崩れ落ち、泣き出した。
これだから女の子ってわからない。
僕を殺したかったんじゃないのだろうか。
包丁を向けてきたと思ったら今度は泣き出すんだから自分勝手にもほどがある。
僕としては、男女の力の差とか、単純な経験の差とか………………そんな感じで、別に襲い掛かられても困らないんだけど。
相変わらず妙に回らない頭でつらつらと考える。
体調、最近悪いな。
どうしたんだろう。
風邪かな……?
ふわあ、と欠伸を一つ。
とりあえず、誰かが動いてくれないと僕はなにもできない。
僕の役目はここまでで、ここからは彼女か向こうが動いてくれないといけないんだから。
あの人は、彼女が僕を殺そうとするほうが嬉しいんだろうな………。
ため息をはきつつ、自嘲するように笑う。
仕方ない、あの人にとったら僕はその程度だ。
と、そこまで考えた時。
不意に、ガラ、と。
部屋の窓が開く音がした。
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