支配する生徒会

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そうなんです。深夏が遂にデレました。 いや、本編で聞いたからそれ。という読者もいるだろう。 だがあえて俺は言う! はい、深夏のデレ期来ました――――っ! 地道に攻略し続けた苦労が遂に報われた気がした瞬間だった。 くそぅ。涙で深夏が見えないじゃないか。 永かった攻略ルートに、待ちに待ったエンディングが見えてきた。 俺の脳内では既にスタッフロールが流れている。 ゆっくりと瞼(まぶた)を閉じれば、懐かしき生徒会の日常。 攻略に挫折する時もあった。 ツンばかりでなかなかデレてくれない日々が何度もあった。 ハーレム大歓迎の俺だが、時たま女子力に圧倒され、アウェーな状況に苛まれたこともあった。 だが、こうして耐えに耐え抜いた結果! 遂に来ましたデレ期到来! 先ほど会長は言っていた。 『継続は力なり!地道にやってこそ、栄光を得られるのよ!』と。 まさにその通りだ。受け売りでこそあれ、会長の格言が初めて俺の心に響いた。 さて、しみじみと言葉の余韻に浸るのはここまでにしようじゃないか、杉崎鍵! 俺に惚れた女が目の前にいる! それだけで、俺のパトスは熱く燃え盛る! さぁ、来い深夏! 俺を優しく包み込んでくれ! ギュッ。 「ぐえっ」 「真冬に手を出したら、わかってるよな?」 「……イエッサー」 惚れられた女に、優しく首をギュッとされた。 人生のエンディングが見えてくると共に、ゆっくりと瞼を閉じれば生徒会の日常が。 真っ暗になった視界に、やがてスタッフロールが流れ始めた。 あれ……? この描写、なんかデジャヴ――…… END.
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