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残すところは知弦さんだ。
暴走する会長の唯一のストッパーである彼女なら、先程の会長の発言をなかったことにできるかもしれない!
俺は未だにしらばっくれる深夏から、正面に座る最上級生へとアイコンタクトを送ろうと――――って、いない!
あれ!? なんで!?
え、今の今まで正面に座っていらっしゃったのに! 呪いみたいな言葉を呟きながら!
どういうこと!?
そうは思いたくないけどまさか、逃げた!?
あなたそんなキャラじゃないでしょうに! もっとこう冷静かつ大胆に会長を誘導さていじり倒すのが知弦さんの能力でしょう!………ん? あれ? 俺の近くに置き手紙?
えーっと? ちょっと自分を探しに行きます?
ちょっとって、コンビニ感覚かよ! というか、自分探ししなくても、一番自分のことわかってるでしょうあなた!
あぁもうだめだ!
全員色んな意味で取りつく島がないじゃないか!
仕方ない、観念するか。俺は嘆息し、誰もが言い出せずにいた言葉を、それもとびっきりの笑顔で会長に言った。
「病院に行きましょう、会長。今すぐに」
「まさかの病人扱い!?」
俺の対応にご立腹の会長。いったい何が不服なのだろうか。
「だって会長、いつもなら無邪気な顔で、わ〓い!蝶々さんだ〓!って言いながら蛾を追いかけてるじゃないですか」
「何その嫌な認識! それはむしろそっちの方が病気じゃないかしら! してないよっ、そんなこと!」
「大丈夫ですよ。俺は何も見なかったし、会長はいつも通りだった。それでいいじゃないですか」
「待って!? それはフォローしてるようでしてないよ!? というか、そもそもやってすらいないから!」
「…………」
「何そのまたまたご冗談を的な表情! アウェーだよ! 今日なんかものすごくアウェーだよ、私!」
「ありますよねー、そういうの」
「むっきゃ――――――――っ!」
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