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「……ここで何してる?」
「に、人間……」
冷や汗を流しながら白い顔を完全に真っ白にして、キュッと縮めた目でこちらを見つめてくる。
あえて発言しよう。
かわいいと!!
「えええぇぇぇぇぇっぇ!! 人間が見てるうううぅぅぅううぅ!!」
急にパニック症状を引き起こし、部屋中を駆け回り始めた。
「お、おい……!!」
「何で!? 何で何で!? ここの家の人は見えないのに!? ってか誰ぇ!?」
「落ち着けェ!!」
狙いを済まし、近くを通った瞬間に強烈なチョップを食らわすと、おでこを押さえてうずくまった。
「そこの白いの。僕は別に危害加えたりしないよ。……何て言う妖怪だ?」
ホントに?とでも言いたげな瞳でこちらを見つめてきたので、安心させるように大きく頷く。
すると、白いのは体を起こし、正座をした。
「わたしはここら一帯で雪がつもっている間だけ出ています。雪女と申します」
「出てる……」
「そうです。ひゅードロドロっと」
何故か得意満面の笑みで話す雪女を無視し、ここにいた理由を訊く。
「あぁ、ここの家の人たちは霊感がほとんどなくて鈍感なので、些細なことにも気づかないんですよ。よく利用させてもらっています」
おばあちゃん。馬鹿にされてるよ。
「して、殿方は何と……」
「……正信だ。こっちに来た理由は……」
その先を話そうとして遮られた。
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