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「この男を殺してほしいんです」
芥辺探偵事務所にやってきた新しい依頼者。
上田冴絵(さえ)。さくまと同じくらいの若い女性だった。いたって平凡なロングヘアーの彼女は やってくるなり殺人の依頼をしてきたのだ。
「殺してほしいって言われましても…。うちは探偵ですから、そういったことは…」
さくまは困りながら応答する。
「ええやんかぁ、さくぅ~。こんなカワイイ娘が困っとるんや。助けたげよーや!」
そこにアザゼルが口を挟む。
ちなみに、悪魔は普通の人間には見えない。もちろん、声も聞こえない。
「そんなこと言ったって、殺しなんてできるわけないじゃないですか、アザゼルさん!」
さくまがアザゼルに反論する。悪魔を使えば、人を殺すことなど容易い。だが、殺しは ここの所長のアクタベが許さない。
「殺しとか、そういう物騒なことは…できないので。うち、普通の探偵ですから」
さくまは再度、冴絵に向けて言う。
「ここ…悪魔探偵なんでしょ?なら、悪魔の力を使って、あの男を呪い殺せるんじゃないですか?」
冴絵が口を開く。
「…!なんで それを?…うーん、でもやっぱり…殺しは…」
さくまは驚きつつも、ごねる。
「じゃあ、殺してもらわなくてもいい!あの男をこてんぱんにしてほしいの!!アイツが再起不能になるくらいダメージを与えて欲しいの!」
冴絵は必死に声を荒らげて言った。
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