依頼1

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「この男を殺してほしいんです」 芥辺探偵事務所にやってきた新しい依頼者。 上田冴絵(さえ)。さくまと同じくらいの若い女性だった。いたって平凡なロングヘアーの彼女は やってくるなり殺人の依頼をしてきたのだ。 「殺してほしいって言われましても…。うちは探偵ですから、そういったことは…」 さくまは困りながら応答する。 「ええやんかぁ、さくぅ~。こんなカワイイ娘が困っとるんや。助けたげよーや!」 そこにアザゼルが口を挟む。 ちなみに、悪魔は普通の人間には見えない。もちろん、声も聞こえない。 「そんなこと言ったって、殺しなんてできるわけないじゃないですか、アザゼルさん!」 さくまがアザゼルに反論する。悪魔を使えば、人を殺すことなど容易い。だが、殺しは ここの所長のアクタベが許さない。 「殺しとか、そういう物騒なことは…できないので。うち、普通の探偵ですから」 さくまは再度、冴絵に向けて言う。 「ここ…悪魔探偵なんでしょ?なら、悪魔の力を使って、あの男を呪い殺せるんじゃないですか?」 冴絵が口を開く。 「…!なんで それを?…うーん、でもやっぱり…殺しは…」 さくまは驚きつつも、ごねる。 「じゃあ、殺してもらわなくてもいい!あの男をこてんぱんにしてほしいの!!アイツが再起不能になるくらいダメージを与えて欲しいの!」 冴絵は必死に声を荒らげて言った。
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