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レクサスを降り。担当官を先頭に自分、明人と続く。向井原と引っ提げられた表札が目についた。
担当官がインターホンへと手を伸ばすと程なくして「は~い」と女の子の声がする。
次いでインターホンから「どちら様ですか?」と同じ声。担当官は「市役所の者です。お話があって参りました」
と笑顔で嘘の対応。その姿は毎度のことなのか様になっている。さすがである。その間もちろん賢司と明人はドアホンカメラの死角へと移動している。
ガチャ
鍵が解かれ玄関のドアが開かれる。ドアを開けた女の子は後ろに立つ自分らを見て驚いたようだが部下か何かに上手く勘違いしてくれたらしく担当官と同じく招き入れられる。まあ部下には違いないのだが。
女の子は玄関で人数分のスリッパを揃えると「こちらです」としっかりした対応で客間に案内。担当官はありがとうございますと変わらない笑顔で礼を言い、賢司と明人も軽く会釈をしておく。
女の子か去って入れ違いに40歳前後の男性が入室。
父親だ。担当官は座った父親にと一礼し懐から取り出した名刺を差し出しこう告げた。
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