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「私共は内閣情報局の者です。回りくどいのは嫌いですので単刀直入に。向井原綾子さん、つまりあなたの娘さんを預かりに来ました」
「..…市役所の方だとお聞きしましたが?」
父親は明らかな敵意を剥き出し担当官を睨んだ。
「その点については謝罪致しましょう、ですが正直に言って入れくれるとは思えませんでしたので」担当官は肩をすくめ、微笑む。
「だいたい情報局なんて聞いたことがない。説明してもらわないとわからんね」」
「ですが信じてもらうしかありません。一様は秘密機関ですので」
担当官が淡々と語る。
「それを信じろと…..?」
父親が呆れてかぶりをふったところで担当官は「仕方ありませんね」と切り出した。
「あなたがた家族は去年8月12日から18日の1週間海外旅行に行きましたね?」
「なっ…調べたのか!?」
「まあまあ、そう熱くならずに。ここまでは別に入国管理局に問い合わせば済む事です」
「…」
「確かサンフランシスコでしたか、いいですなあ。勤続20年とは素晴らしい。で着いた早々にお父様はホットドッグを購入したそうで。2、3、4日目は観光、ゴールデンゲートは大きいですなあ。4、5日目はショッピング。同僚のお土産はコーヒーだとか。6日目はすることが無くなりホテル近くのシューティング場へ行き拳銃を100発程撃ち、7日目は早めに空港へ行き日本料理店で和食御前を食べ帰国と…」
担当官は一息に言い切り息を吐く。父親を見れば顔を青ざめ、肩を震わせている。
「あっ、あんたらはなんなんだ!」
「初めに言ったでしょう。私どもは内閣情報局と、私はそのしがない下っ端のスカウトマンですよ」
担当官はニヤリと笑い、ヒヒヒと声をあげた。
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