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祐樹はコンビ二の裏にある、趣のあるたたずまいの店ののれんをくぐった。
「いらっしゃーい」
白衣を着た年配の女性の、威勢の良い声が響く。
高校の時から行きつけのこの店も昼時は混雑していた。
「ごめんねー、相席でいい?」
「いいですよー」
顔なじみの女性に案内させれた席に着き、先客の男性に声をかける。
「すんませーん、おじゃましま……あ」
「……何だ、祐樹か」
同じ席の黒いジャージを着た若い男は、てっきり城玉大学の学生かと思っていたが。
「何だとは、何だ」
「さっさと注文して、食えよ。あと15分しかないぞ」
「俺、5時限目授業ないから」
「15分で戻るぞ」
「へいへい。すんまーん、唐揚げ定食大盛り~」
祐樹は、融通の利かない、くそ真面目な同僚、有馬孝太郎と相席してしまった不運を、こっそり嘆くのであった。
「お前、昔から唐揚げ定食大盛りだな」
「お前こそ、どうせ生姜焼きだったんだろ」
「……とっとと食えよ」
「当りだろ?」
2人は高校時代から、この店に通い続けている。
そして注文するメニューも同じ。
「たまには違うもん食ったら?孝太郎ちゃん」
「あと10分だ」
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