―ride―

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誰も気付かぬまま、私は黄色いブロックを踏みしめがら前に歩み出た。 靴に響くでこぼこが妙に痛い。疲れが足の裏に現れているのだろうか。じんじんとする感覚に、生きているという事実をまざまざと実感させられる。 こんなときに、まるで皮肉のようではないか…。 外に面した、高台の電車のホーム。あたりを見渡しても遠くの方にまばらに人が見えるだけで、周囲はほとんど自分ひとりといってもいいほどすいていた。 ちょうどいい、と思った。 もう4月も近いというのに、空気は冷たい。風はなく、田舎特有の静まり返った空気が横たわる。見下ろせる田園風景はチャコールグレーに濁って色は失われていた。 『電車がまいります。白線の内側までお下がりください』 ―アナウンスが鳴った。予定より早かった。 ぼんやりと立って電車を待つ。 数秒後、かたんかたんと少しづつ音が近づいてきた。
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