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こころは穏やかだ。ゆるやかに目線を足元にやりつつ待つ。
突如、その平穏を破るように
ぐわんぐわんと全身に響くような音がする。身体が方向を失い、くらりと傾くのを感じた。
ハッと気付くと・・きらめく金色の電車が視界いっぱいに広がっていた。すれすれ通り過ぎていく車窓そしてドア。もの珍しさと眩しさに、息をするのも忘れて釘付けになった。
―――飛び込もうとしていた線路はふさがってしまった。
空気の抜けるような音がし、僅かに車体を揺らめかせて電車が止まる。
ひらいたドアに思わず足を踏み入れた。
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