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薄暗がりの中で見る小原さんの顔立ちは、私のよく知る幼顔で愛くるしいものではなかった。 見紛うばかりに妖艶で生命力に富み… 狂おしいほどに成熟した美麗な顔立ちだった! そして… 新鮮な果実のようにみずみずしい唇… 彼女の美しく形のいい唇をみた瞬間、私の心から理性が怒涛のように彼女の唇に吸い込まれていくようだった。 薄暗がりのなかで彼女の唇は、この世の物とは思われぬほど、眩しく麗しく.. 薄紅色の曲線で彩られた膨らみは何よりも艶めかしく… 艶々した淡いピンク色の陰に誘われて私の心も、また同色に染まることを拒めない… それどころか、進んで私の肉体を彼女の肉体と一体化させたい欲望が押し寄せてきた! 彼女の唇はエロスそのものであり、その艶やかさは生命の息吹だった。 全裸の私の肉体は本能の命じるままに桃色に優しく膨らんだ慈愛に満ちた縁取りの奥にある彼女の底知れぬ宇宙に招き寄せられるのだった。 梶山和美と呼ばれ生を受けた肉体は今、夢幻の宇宙となり、未知の宇宙空間との遭遇を果てしなく望んだ。 いまや、私の宇宙の傀儡となりはてた私の理性は、肉体の下部に位置する裂け目から愛のしぶきが歓喜とともに迸るのを抑えることはなかった。 私の肉体の内部から快感と共に愛欲の飛沫が呻りをあげて、ほとばしり股間を濡らした。 それは、異世界との統合を望む我が宇宙の叫びそのものだった。 今、私の本能は私の顔面に位置する口の外側に向かって上下に捲れた薄い紅色の肉塊に神経を集中させるのだ。 それは……私の肉体内部が外部に向かって裏返り、血色を滲ませ口外を上下に縁取る膨らみ…      くちびる 私の内的宇宙空間はくちびるに凝縮され、今、眼前に存在する同様の宇宙への共生、一体化を狂おしく願うのだった。 そして、私のクチビルは、すっかり闇に閉ざされかけ…視界から遠ざかり行く彼女のクチビルを追い始めた。 それは彼女の美しき血潮を薄いオブラートで包みこんだ彼女の分身… それは麗しき彼女の肉体を巡りゆく鮮血を閉じ込めた彼女の宇宙… 私のクチビルは一心に暗闇の中で淡く消えかかるピンク色に装った彼女自身、彼女そのものの宇宙を追った。 そして漆黒の闇が訪れ、彼女のピンク色に眩く灯された唯一の生命の灯火は暗い夜の帳にその陰を完全に鎮めた…image=440432929.jpg
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