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できるだけのことをしよう。 森村さん達に助けて貰わなくては… 私は出来る限りの大声を出して助けを求めた。 「森村さーん… 西村さーん… 横溝さーん… 大沢さーん… 赤川さーん… 誰かぁー… 助けてくださぁーい… 小原さんが動けません… 助けてくださぁーい… こちらにはヒルの大群がいます… 危険でーす… お願いしまーす… 助けてくださーい!」 私は、しばらく反応を待ったけど… 何の反応もなかった。 こんなに暗くなっても… 誰も来てくれない… 森村さん達は5人もいるのに… 私達を助けに来れないのは… おそらく、ヒルの大群に襲われてる!? 近くにいるはずなのに返答もできない… かなり深刻な状況なのかも… 森村さんを当てにしてはいけないのだ。 私は意を決して、小原さんのいる急斜面に向かった。 斜面で足を滑らせないように注意深く勾配を降りていった… ……GYAGYAGYAGYAA…… 突如、静寂を破って… おぞましく凄まじい鳴き声のようなものが後方で鳴り響いた。 何かがいる! それは犬や鳥のものとは明らかに異なる不気味な鳴き声だった。 私は、あまりの恐怖で全身に鳥肌がたった。 一瞬、たじろいだが… 恐る恐る暗闇の中、裸足で足下をさぐりつつ降りていった… 物音をたてると襲われる、ただでさえ出血が止まらず血を垂れ流して歩いているのだ。 血の匂いを嗅いだ野生動物に狙われても全然おかしくない。 最近、この尾高山周辺では開発が進み伐採が進んでいて、急激な環境変化が起きているらしい。 尾高山の麓の住宅地では、多くの猿や猪が餌を求めて出没すると聞いた。 環境破壊で餌が激減した結果なのだ。 野生の猿の群れにでも囲まれでもしたら危険すぎる。 私も小原さんも全裸で無防備なのだから… 今は雨も止んでるし匂いに敏感な獣が近くにいると危険極まりない。 私は細心の注意をして音がしないように急斜面を降りていく。image=440433245.jpg
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