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ライターの炎を翳し、辺りを見回すと… 周囲に群がっているヒルの数が10分前のおよそ3倍に増えていて、あたり一面ヒルで埋まっている。 私の足下にもウジャウジャと血に飢えたヒルが群がってきた。 もう、一刻の猶予も許されない。 ここを脱出する。 小原さんを背負って急な坂を登るとなると私の両手がふさがってしまう。 ライターを持って行きたいのだが… 私も小原さんも、ヒルのせいで完全な全裸状態だから、ライターを身につけられない。 ライターは闇夜の中では、どうしても必要だ。 私は途方に暮れたが、暫く考えて… 閃いた。 私は、私を睨みつける小原さんを無視して… 小原さんの右太腿に巻き付けてる端切れの中にライターを入れた。 それから… 横になっている小原さんのカラダを抱き起こそうとした… 小原さんの全身を覆っているヒルのヌメヌメと噴き出てくる鮮血がグチョグチョしてて… 小原さんのカラダを抱き起こそうとすると… ズルズルと滑り落ちる。 やっとの思いで、小原さんを持ち上げて大きな岩に凭れかけさせた。 それからズルズル滑り落ちそうになる彼女に悪戦苦闘しながら必死の思いで背負い込む。 彼女の大きく豊かなお尻には殆どヒルが喰いついてなかったので、お尻だけは手が滑らずに掴むことができた。 私は背負った小原さんのお尻をガッチリ両手で持ち上げて、立ち上がった。 彼女のカラダは思っていた以上に軽く華奢で… まるで枯れ木のように感じられた。 大量の出血のせいで、私でも持ち上げられるぐらい軽くなってしまった小原さん… 私は、真っ暗な斜面を、ゆっくりと一歩ずつ足を踏み出していった。 微かだが、またもや雨が降り始めたようだ。 …冷たい雨… 小原さんの身体を冷やすのは危険すぎる。 私は焦燥を感じつつ、歩幅を広げて勾配を登る。image=440433302.jpg
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