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私の狂った暴走は小原さんに止められた!?
私が大木に衝突した時に左肩に負った傷口に…
小原さんは思い切り噛みついたのだ。
幾度となく狂気にかられてしまう自分自身が恐怖だ。
もう、林道の近くまで来てる。
弁解の余地もないが、小原さんを、せめてヒルのいないところに連れて行こう。
私は横になっている小原さんを抱き起こし彼女の右足に巻いてた端切れに入れておいたライターを取り出した。
私はライターの火をつけて、小原さんの顔を照らした。
小原さんは目を閉じていた。
頬は痩けて顔色はかなり悪くなっていた。
息が荒い…
私は小原さんの頬を撫でながら小原さんに謝った。
「小原さん、ごめんなさい。
私は狂ってた。
苦しかったでしょう、辛かったよね、ごめんなさい。
ごめんなさい…」
小原さんは目を開けなかったけど…
私の声を聞いてから、少し頷いた。
「私、苦しくって、苦しくって、耐えられなくって…小原さんに、とんでもないことをしようとしてた。
ごめんね、ごめんなさい。」
小原さんの閉じた目から、一筋の涙が流れていた。
「もう、信用してもらえないと思うけど…私…できるだけのことするから…もう少し我慢してね!」
私は小原さんを背負い込んだ。
小原さんのカラダは、やたら軽くなってた。
私のせいで…
私のせいで…
小原さんを…
危険な状態に…
陥れた…
私は焦っていた!
小原さんに負担をかけないように気遣いながらも早足になっていた。
まだ、この辺りでも、蛭の巣窟があるのだろうか…
ヒルが地面に密集していて、私の脚に数10匹のヒルが泥に混じって喰い付いてきた。
きつい勾配があったが、それほどの苦もなく越えられた…
錯覚かもしれないが、小原さんの身体が、やたらと軽い…
次第に軽くなっていく小原さんのことを思うと、私の胸がキリキリ痛んだ。
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