プロローグ

14/14
前へ
/77ページ
次へ
そして二人は手を握り合って。 「じゃあ、早速事務所に行きましょう」 「あぁ。でもお腹がさ……」 「心配しないで。食料はたんまりあるから。服も、スーツなら溢れるほどあるわ」 淡々と当たり前のように言葉を並べる赤猫。 「……外にバイクを停めてあるから。あなたは後ろに乗って」 「悪い」 「あと、借金については後で番号を教えてくれれば、私が明日直接話して振り込むから。もちろん、電話は公衆電話でね」 「なにからなにまで……」 ――まさかこれは死に際に見る一種の夢ではないのか。 彼はそう思って頬を引っ張ってみたが、意に反して痛かった。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加