プロローグ

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十二月二十四日 午後七時 クリスマス・イヴ 言うまでもなく、キリスト誕生の前夜日。 だが、日本において彼のバースデーを祝おうとする者はほとんどいない。 家庭では子供たちがサンタクロースからのプレゼントを心待ちにし、街道では恋人達が愛を確かめあう。そんな物欲に愛欲に満みちた聖なる夜で。 「てめぇ待ちやがれ!」 「金返せオラァ!」 「ひぃいぃぃぃ!」 男は借金取りから逃げていた。 名は山下山吾(ヤマシタサンゴ)。 年齢は二十一歳。職業フリーター。 彼はひょんなことから友人の連帯保証人になってしまい、後に友人が海外へ逃亡したことで彼が借金三百万円を背負うことになってしまった。 未成年ならまだ何とかなったかもしれないが、彼は既に成人二年目。 母親を早々に亡くし、父親は行方不明。 ゆえに自分で解決するしかなく、返済に追われてジリ貧に陥り、結局大学を辞めることになってしまった。 しかも借金は未だに完済できていないため、こうして今追われている。
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