第六話 イケメン返上!!

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「あれー? そんな大声出しちゃっていいのぉ? あさみんに聞こえちゃうよぉ?」 「ぐっ……」 やばい。 今の聞こえただろうか? 聞こえた……な。 兄貴が、さっさと居間に戻っていく。 気まずい空気の中、俺は、結構凹んでいた。 「ほんと、兄貴の女なんて取ってないし。あっちが勝手に……」 「もしかして……その振られた彼女に殴られたりしたの?」 「……え?」 「だって、上に乗っかられたんでしょう?」 ――――あ。 意味、わかってないし。 「あー、まあ、なんつーか、泣き笑いみたいな状態っていうのかな。あははは」 「お兄さんに振られたの、相当ショックだったんだね。お兄さん、カッコ良いし優しそうだもんね」 「……どこが」 と、そこは全力で否定する。 人当たり良さそうな感じにみえるが、あいつは真性のドSだ!! あいつと同じに見られるのは絶対に嫌だー!! 「場所、変えようか」 せっかく部屋に入れたのに勿体無いが、背に腹は変えられない。 「場所?」 「兄貴がいたらくつろげないだろ? 近所に勉強してても怒られないファミレスあっから、そこに移動……」 「えーっ、もうお寿司三人前頼んじゃった」 また兄貴が再登場。 「……立ち聞きしてんじゃねーよ」 「まあまあ、ほら、あさみんもせっかく来てくれたんだし。僕ももっとお話ししたいしさー」 コイツ……何か企んでる。 俺には分かる。 認めたくないが、兄弟のカンだ。 「なんか……すみません」 「いーのいーの。ゆっくりしていってねー」 兄貴は苦手だ。 何を考えているのか分からないポーカーフェイス。 だが、その腹の中は真っ黒でドロドロだった。
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