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「柴崎君は、イジメたりしない。そんな人じゃないんだよ。彼はすごくカッコ良くて頭も良くて運動神経も良いし王子様みたいな人なんだから」
お兄ちゃんが、はーっと溜息を吐きながら箸を置く。
「なら、遊ばれているんだ。からかわれているんじゃないか」
「なっ……なんで、そう思うの? 私が冴えないから? 地味で可愛くないから?」
「そうとは言わない。亜佐美は可愛いよ。優しい良い子だ。だから、お兄ちゃんは、そいつがいい加減な扱いをしているんじゃないかと疑ってしまうんだ」
「柴崎君も……か……可愛いって言ってくれた……」
私は恥ずかしくて消え入りそうだ。
「……そこまで言うなら、今度、家に連れてきなさい」
「な、なんで?」
「お兄ちゃんが、ちゃんとしたヤツかどうか見てあげるから」
「拓也……」
「母さんは黙ってて。あなただって亜佐美のコトが心配でしょう?」
「そうだけど……高校生同士のお付き合いなんだし」
「そんなこと言えるの? 自分が高校生の時、彼氏と初々しいお付き合いしてたの?」
「親に向かって、その口の聞き方はないんじゃないかしら」
「母さんだって、心当たりあるだろうって聞いてんの。俺は、自分のことを棚に上げても亜佐美を守るよ」
「ごめんね、亜佐美ちゃん。拓也ったら、急に可愛い妹ができたから変に気合入っちゃってるのよ」
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