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コケコッコー!
朝を告げるにわとりの鳴き声が、外に響く。
「・・・ん・・朝か・・」
にわとりの声により、目を覚ました一人の男がベッドから半身を起こす。
この男“ダン・クロセル”この物語の主人公だ。
足をベッドから床へと動かし、立ち上がる。
ここは、ダンの通っている学校の学生寮。
にわとりは、管理人の家に飼われているものでほとんどの学生は、その鳴き声で目を覚ます。
「眠い・・・」
まだまともに開かない目を擦りながら、洗面所に向かい、顔を洗う。
ドンドン・・・
ダンの部屋のドアを誰かがノックする。
「毎朝毎朝・・・」
ノックに反応する素振りも見せず、顔を洗い続ける。
ドンドン・・・
再びノックがくる。
「起きてるんでしょー?」
ドア越しに女性の声が聞こえてきた。
「はぁー」
軽くため息をつき、うがいを済ませ、タオルで顔を拭きながら返事を返す。
「起きてるよー」
とてもめんどくさいトーンで放つ。
「ダン!おはよー!」
再びドア越しに声が聴こえてくる。
「おはよー」
同じく、ダンもドア越しに挨拶をする。
「ねぇ、ドア開けてくんない?」
普通ではあまりないようなコミュニケーションに嫌気がさしたのか、少し口調を強める。
「なんで?」
ダンは、ドアノブに触れる仕草も見せず、言葉を返す。
「なんでって、この状況おかしくない?」
「おかしいって毎日こうだろ?」
女性の言葉に、なんの迷いもなく言葉を返す。
「あー、開けてよー」
しびれを切らしたのか、先程とは一遍して、甘い声を出してくる。
「どんなにしても開ける気ないから」
ダンは相変わらずドアを開ける気はない。
そんなやり取りをしながら部屋の時計を見ると、針が8時55分をさしていた。
「やばっ!」
ちなみに、ダンたちの通う学校は、9時から1時限目の授業が始まる。
現在いる地点は寮であるが、学校内の一部に存在しているため、急いで教室に向かえば間に合う距離だ。
教科書などの入ったカバンと壁に掛かっている鞘に納められた日本刀を肩に掛ける。
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